子どもを勉強に向かわせるために絶対やってはいけないこと

 前回は、やる気が起きるにはその前提となる先行要因が必要で、その先行要因が「3つの要素」に影響を与えることで動機づけられる、という内容を書きました。

 その3つの要素とはズバリ、「欲求」「認知」「感情」です。

 この3つの要素は、行動するための理由を示す要因となり、その人の外側にある要因(主に環境のこと)と互いに影響しあいながら動機づけられます。特に欲求は行動を活性化するエネルギー源とされています。
 なので単純に、『勉強したい!!』という欲求ができれば勉強するわけです。もっとも、これがなかなかできないから困るわけですが、ここでは欲求の役割に注目した動機づけのプロセスを考えていきます。

基本的欲求と社会的欲求

 欲求は『基本的欲求』と『社会的欲求』の2つに大きく分類できます。
 基本的欲求とは生まれつき持っている欲求で、社会的欲求は生後に様々な学習経験によって得られる欲求です。(学習と言っても勉強のことではありません)
 さらに基本的欲求と社会的欲求を細かく見ていくと図のように様々なものがあります。

 勉強と関わってくるのは内発的欲求や社会的欲求になってきますかね。
 生理的欲求が満たされないと生きていけないわけで、勉強どころでなくちょっとヤバいというか何というか…。
 もともと探索欲求や知る欲求、好奇心が強いと自分から勉強する機会も多くなると考えられます。
 勉強への動機づけを考えるなら、内発的欲求や社会的欲求を刺激するようなアプローチを考えるのが筋なのかと思われます。
 別の言い方をすると、何らかの先行要因があって、それが内発的欲求や社会的欲求に刺激を与えるようなシステムを作れば、勉強への動機づけがなされると考えられます。
 
 ここでもう1つ。欲求を考えるうえで超有名な理論があります。心理学を勉強したことがある人なら必ず目にする理論。マズローの欲求階層論です。

マズローの欲求階層論

 マズローの欲求階層論とは、低次の欲求が満たされると次の階層の欲求が生じるという理論です。心理学的に正しい学説だとは証明されていないのですが、私個人としてはかなり納得する理論です。

 生理的欲求や安全の欲求が満たされないと勉強どころではないのは想像つきます。すると、所属と愛情の欲求を持つ段階にきて初めて勉強に向かう余裕ができてくるといえます。先の欲求の分類でいう所の、内発的欲求、社会的欲求に当たります。所属とは居場所のことで学校やサークル、地域社会、家庭など、自分自身の存在を他者から認められる場所といっても良いかもしれません。愛情については、子どもの頃ならやはり家庭による所が大きいでしょう。

 このマズローの欲求階層論を基にすると、「所属と愛情の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」のどれかに影響を与えるようにアプローチするのが適切な方法だといえそうです。

絶対にやってはいけないこと

 一番やってはいけないのは、勉強させるために「勉強しなかったら今日の晩ごはん抜きだからね!!」ということでしょうね。「勉強しなかったら生理的欲求を満たさせないからね」と同じことですから。で、生理的欲求は生存に関わる欲求ですから、究極的な解釈をすると、「勉強しなかったら死ね!!」となってしまいます。勉強させるための手段が脅迫になってます。これでは言われた側としては勉強に対して良いイメージを持てないですよね。勉強を始めたとしても嫌々やるのは明らかだし、頭にも内容が入らないでしょう。

 当たり前ですが、欲求を満たすといっても何でも好き放題にさせるということではありません。そのあたりは色々とバランスを取りながらアプローチしていく事が大切です。




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