自分から勉強する子に育てるには?

 今この記事を読んでいるということは、どうすれば子どもは自分から進んで勉強するのだろうとか、なぜ勉強から避けてばかりいるんだろうと悩んでいるのかと思います。あるいは勉強する姿勢を育てるにはどうすれば良いのか、と考えているかとも思います。そのことでもしかしたら気持ち的にも焦りを感じたり、言葉にならないようなモヤモヤ感もあるかもしれません。さらには子どもに勉強させるために、あれをやらせよう、これをやらせようなどと、色々と手を出しているかもしれません。そして実際に色々とアプローチするものの上手くいっていない方もいると思います。

 ここでは子どもが自分から積極的、主体的に勉強に取り組むにはどのようなことが必要で、どうすれば動機づけられるのかを、心理学的視点から何回かに分けて考えてみます。

 子どの勉強のことで考えがいっぱいになってしまっているけども、何をどうしていけば良いのか迷っている保護者の方は参考にしてみてください。

 ということでまず、子どもが勉強しない理由、勉強から避ける理由を確認しておきます。

子どもが勉強をしない理由、勉強を避ける理由

 まず始めにお伝えしておきたいのは、前提として

子どもに限らず人は誰でも、どんなに大切な事でも行動を起こそうと動機づけられないと、人は行動しない

ということです。

 当たり前だ!! って思いますよね? でもその当たり前が当たり前過ぎてよく見えなくなってしまうなんてこともよくあります。なのでここは、あっそうなんだという新鮮な気持ちで捉えて下さい。

 親が子どもに勉強させたい理由としてよく聞くものに、

  • 子どもの成績を上げたい
  • たくさんの知識を得てほしい
  • 進学や就職に有利にしたい
  • 義務教育の内容を知っていないと社会に出てから困る

などがあります。

 一方、子どもが勉強をしない理由としてよく聞くのは、

  • 理解できないから嫌だ
  • つまらない
  • わからない
  • 成績が悪いと怒られる
  • 勉強の価値を見いだせない

などがあります。

 勉強に取り組ませるために良かれと思って施したアプローチも、実際にはマイナスに作用してしまい、結果として子どもが上記のような感情を持ち勉強から遠ざかってしまう、という流れはよく見られます。
 例えば、普段家庭で全く勉強をしない子に対し、勉強に向かわせようと思いたくさんの宿題を出したところで、やっぱり家庭で勉強はしないし、宿題だって何かの丸写しをするだけの転写作業で終わってしまうなんてことはいくらでもあります。

 このように、大人と子どもの間で勉強に対する認識にギャップがあるわけです。このギャップを埋め合わせることなく大人が大人の感覚として子どもに指示すると、子どもが意識的にしろ無意識的にしろ抵抗して、子どもが勉強しないということにつながってきます。
 ということは、このギャップを解消していけば、子どもが勉強に取り組む姿勢も変わってくるといえそうです。

 ではどのようにしてこのギャップを埋めれば良いか?
 ここで上記の「子どもが勉強をしない理由」にあげた、特に2つの点に注目していきたいのです。

「理解できない」「つまらない」が自信がない状態につながる

 子どもが勉強をしない理由にある『理解できない』や『つまらない』ですが、これがなかなか深刻だったりします。
 というのは、この『理解できない』や『つまらない』というのは『自信がない』という状態につながるからです。
 この『自信がない』という状態は、少し回りくどい言い方をすると『困難に立ち向かう活力が不足している状態』といえます。この状態のことをアドラー心理学では【勇気くじき】と表現しています。

 人は多くの場合、理解できない物事に対しては理解しようとするのではなく、排除したり逃げたりする方向に動きます。
 そして排除する(した)行為に対し何らかの理由付けをするものです。もちろんその理由は正しいかもしれないけど、逆に間違っていることだってあるかもしれない。

 そしてここに大きなポイントがあります。

 理解できていない物事に対して下した判断は、理解できていないからこそ正しい判断だと言い切れないんですね。

 もちろん間違えとも言い切れないですが、少なくとも100%正確な判断だとも言い切れない。
 つまり理解できていない物事に対する判断は著しく正確性に欠けることが多いということです。

 この正確性に欠いた判断が「つまらない」という感情にもつながってくるわけです。
 正確性に欠いた判断とは「間違った思い込み」とも言えますよね。
 ということはもっとざっくり言ってしまえば、間違った思い込みがつまらないという感情を引きだしているともいえます。
 
 「つまらない」と感じたことをやろうと思いますか? 思わないですよね。

 ということは、正確性に欠いた判断が「つまらない」という感情を生み出し、結果としてやらなくなってしまう。で、やらないから理解できない。そして理解できないから排除や逃げるという行為につながる、という負の循環ができてしまうのです。

 すると正確に判断するということが勉強に限らず、人が自ら何かを取り組んでいく上で大きな意味を持ってくるといえるのではないでしょうか。

 なので勉強を苦手とする子に対しいきなり難しい問題をやらせようとしたって、勉強に対しての理解ができていなければ、結果的につまらないという感情を持つだけで終わってしまいます。

自分から勉強に取り組むには正確な判断が大切

 勉強に対して逃げ腰の子には、例えば勉強することにどんな意味があるのかを理解しやすいように伝えていくのが最初の段階だと考えられるのです。そして簡単なものから徐々に進めていくと、少なくともつまらないという最悪の事態からは回避できる可能性も高まるものと期待できます。
 この流れを作れば時間の程度の差はあったとしても、少しづつ自信も付けられるようになってきます。

 長い時間をかけて正確性に欠いた判断をしてしまうと(理解できない・つまらないと思い込んでしまうと)、それを改めていくには、やはりそれと同程度、あるいはそれ以上の時間がかかってしまいます。
 なので、子どもが勉強に対してネガティブなイメージを持ってしまったら、できる限り早く対処することが大切になってきます。
 
 ところで先ほどさらりと勇気くじきと書きましたが、勇気くじきには主に3つのパターンがあると考えられています。つまり、自信のない状態という由々しき事態に追い込んでしまうには3つのパターンがあるといえます。

次ページでは【勇気くじき】について簡単に紹介します。



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