説明が下手な人のことば使い

 この記事を書いているのは5月18日ですが、「5月18日はことばの日」だそうです。5と10と8の語呂合わせから来ているとのことです。

 日付の語呂合わせで記念日を作れるなら、当学習会の名称、TOI学習会(とわがくしゅうかい)も何だか記念日を作れそうです。10と0と9で「とわがく」だから、10月09日・・・? 100月9日・・・100月なんてないからダメか。
 1月009日・・・009なんてサイボーグだけで十分。
 結局作れそうにない(・_・;)
 あ、まぁそんなことはどうでもいい。

 とにかく5月18日はことばの日ということなので、今回は私が小学生の時に聞いて今でも腑に落ちない言い方についてつらつら書いていきます。

1度しか言わないからよく聞けよ

 私が小学生だった頃、厳しともっぱらの評判だった先生が何かと口にしていた言い方です。

 「いいか、1度しか言わないからよく聞いておけよ。」

 このように言われたらどう感じます?
 特に気にしない人もいるでしょうね。でも私はこのセリフについて、小学生の時からず〜〜〜っと違和感を持っているんですね。

 当時なぜ違和感を持っていたのか。小学生だった頃の私はこう考えていました。

「先生は分かりやすく説明するのが仕事だ」
  ↓
「分からない生徒がいたら、それは先生の説明が悪い」
  ↓
「分からない生徒がいるなら、説明の仕方を変えて再度説明し直せばいい」
  ↓
「それをせず、分からない原因を生徒の能力の責任にしている」
  ↓
「その先生は自分が言っていることが絶対の人間なんだな」
  ↓
「高慢め」

 こんな感じで考えていました。大人になった今では、生徒に注意を向けさせるためにあえてそのように言っていたのだろうとは思えるのですが、当時はそんなことは考えもしなかったわけです。(今でも、そんな言い方ありかよ!! とは思っていますが)

分からないのはお前が悪い という理屈

 学校に限らず職場でもいると思うんですね。新人研修の時に、「1回しか言わないからよく聞いてください」などという上司ヅラしている輩。

 そういうセリフを吐く輩にはおそらくこんな考えが根底にあるのではないでしょうか?

 「分からないのはお前の理解力に問題がある」
 「分からないのはお前の能力の問題だ」
 「私はお前の上に立つ人間だ。マウンティングしているから下手なマネするなよ」

 理解できるように説明していくのが説明する側の責任ってものですが、こんな考えを持っているのであれば明らかに責任放棄ですよね。残念ながらこんな上司が指導役ならば、その職場はかなり不健全なコミュニケーション環境だと推測できます。

さっき言いましたよねぇ

 説明責任の放棄ということではもう1つ注意したい言葉があります。それが

 「さっき言いましたよねぇ。」

 これだって言った側に「1回言ったのにお前は分かってなかったんだな、あぁ?」という考えが根底にあるはずです。さすがに5回も6回も説明したのに理解していなかったのなら少しは聞く側にも問題ありかもしれませんが、1、2回説明しただけじゃ理解しきれない所も十分あるわけです。にもかかわらず「さっき言いましたよねぇ。」などと言われては、言われた側としては良い気分のわけないですし、下手したらモチベーション下がりますよ。思い当たるところありませんか?

2つの表現に共通すること

 「1回しか・・・」と「さっき・・・」に共通するのは、発言者が「自分中心で物事を考えている」ことです。
 何かを教えたり伝えたりするには、相手の立場になって話さないと絶対に伝わらないものです。だってそうでしょ? 例えばこんな言われ方したらどうです?

 「いいか、1回しか言わないからよく聞けよ。俺はお前のことが好きだ。だから俺と付き合え。」

 こんな言われても嬉しくないですよね?むしろフルための理由を探しますよね。っていうか逃げますよね。なぜなら言われる側のことを全く考えてないからです。
 じゃぁこっちは?

 「さっき言いましたよねぇ。私は貴方のことが好きなんです。」

 まぁこれをツンデレの作戦でやってるなら言われる側の男としてはまぁ、あのその・・・なんですが、ふつうは若干引きます。やっぱりこれだって言われる側のことを考えてない表現です。

 自分中心で考えるということは、自分から始まって自分を経由して自分で終わるということにもなりますから、他人が入り込む余地が無いわけです。
 
 他人に入り込む余地が無いから、どんなに聞き手が理解しようと努力してもなかなか理解できない。だから聞き手としては納得いくことなく終わってしまう。そして話し手としても、当初の目的である「理解させる」ことを達成できないから、やはり納得いく結果にならない。で、あのセリフが出てくる。

 結局あの2つのセリフが出てくる人というのは、自分の説明力の低さを見たくないから他人を操作することで、自分自身を見ない様にしているのかもしれません。

 じゃあ上手く説明するにはどうしていけばいいのかというと、相手の立場になればいい。つまりここ数回この記事でテーマにしている「想像力」を働かせるということになってくるんですよね。
 こんな言い方をしたら相手にどう伝わるか、この言葉を使ったらどんな考えにつながるか、等々想像する必要が出てくる。
 
 本当に説明が上手い人は、「1回しか言わないからよく聞けよ」などとは言わないものです。




前ページ    ホームへ    次ページ