「勉強しないならゲームやスマホを取り上げる」のは正しいか?
スマホでもゲームでも何でもいいんですが、子どもたちから「ゲームを禁止される」「スマホを取り上げられる」なんてことを聞きます。
その理由を聞いてみるとだいたい同じ答えが返ってきます。
『勉強しないから』とか『テストで点数が悪くなるから』など。
実際に『勉強しないならスマホは禁止』と言って取り上げたことがある保護者の方もいると思います。はたしてそれで効果が出たでしょうか?
おそらく取り上げたところで勉強量が格段に増えるわけでもないし、テストの点数が驚異的に良くなった、なんてこともないと思います。
ぶっちゃけ、子どもから楽しみを取り上げただけで終わったと思います。それどころか余計にゲームやスマホへの関心が高まった子もいるかと思います。
そして出てくる保護者のつぶやきが
「うちの子は勉強しなくて…」
そもそもですが、ゲームを取り上げれば勉強をするという考えが間違っているんです。なぜなら、
『ゲームと勉強を同じベクトルで考えている』から。
だってそうでしょ。「ゲームをしないこと」と「勉強をすること」はイコールじゃないですよね。ゲームをしなくなったことでテレビを観るかもしれないし、おやつを食べるかもしれない。どこかに出かけてしまうかもしれない。つまりゲームをしないことのその先には、無限の行動パターンがあるんです。
やるかやらないかは、関心があるかないかで決まる
ゲームをするかしないかは、ゲームに関心があるかないかの次元で決まります。だから取り上げたとしてもゲームに関心があるなら、やっぱりゲームをやるんです。
同じように勉強するかしないかは、勉強に関心があるかないかの次元で決まります。
ということはゲームと勉強の関係には、次の4つのパターンが出てきます。
①ゲームに関心が無く勉強に関心がある
②ゲームに関心があって勉強に関心がある
③ゲームに関心が無く勉強に関心がない
④ゲームに関心があって勉強に関心がない
するとそれぞれ次のように考えられます。
①では勉強するでしょう。
②では勉強する可能性は十分あるでしょうね。
③ではもしかしたら勉強するかもしれないです。
④では取り上げたゲームを見つけ出してでもゲームをやるでしょうね。
①と③ではゲームに関心が無いから取り上げること自体に意味がないです。
②だと勉強に関心があるから取り上げる必要がありません。むしろ取り上げてしまうとちょっとリスクを伴うかもしれません。というのは、②のパターンができているとメリハリをつけて行動することができますから、ゲームは軽い息抜きとして自分で管理できている可能性が大きい。その息抜きの道具を取り上げるということでのリスクがあります。
④のパターン。このパターンを見ると保護者としてはゲームを取り上げたくなります。で、実際にゲームを取り上げるのはこのパターンがほとんどだと思います。
ですがこのパターンの時がいちばん取り上げた時のリスクが高くなります。なぜか?
取り上げることがさらに関心を高める原因になる
ここで以前書いた記事「正と負 強化と罰」のところを思い出してほしいのです。(まだ読んでいない方は こちらから 読んでみてください)
『子どもはゲームにハマっています。大人は取り上げました。結果子どもはさらにゲームへの関心が高くなり、探し出してでもゲームをやりました。』
という流れですからこれは負の強化です。文字通りゲームへの関心を強化してしまっています。
ということはお気づきかもしれませんが、どのパターンにしろゲームを取り上げることにはほとんど意味がないことになります。
もし仮に取り上げて子どもが勉強し始めたとしても、勉強に取りかかるまでに数十分から数時間程度の親子ゲンカをしてからになりますので(笑)、時間と精神的負担という意味で親子ともども無駄が出ます。
さらに、子どもからすれば常にゲームのことが頭の片隅にある状態だから、勉強にも集中できないだろうと容易に想像できます。
そうなる位ならその時間をゲームに充てて、それから勉強を少しやった方がまだマシです。
じゃぁ④のパターンの時はどうすればいいんだ!! ってことになりますよね?
実際問題としてテスト前になっても勉強せずゲームばかりではさすがによろしくない。取り上げたらさらに強化してしまう…。①のパターンの様に「ゲームに関心が無く勉強に関心がある」状態になれば良いのになぁ、と保護者として思うわけです。
だったら①のパターンになるように変えていけば良いんです。つまりゲームに関心が無い状態を作る。
ならどうすれば良いのか?
取り上げるのはよろしくないんですよね。だから・・・、
飽きるまでやらせればいい。
「飽きるまでやらせるだと!? 何を言ってるんだ、ふざけるな」とお怒りの方もいるかと思いますが、結局そういうことなんです。飽きれば関心が無くなるんだから、飽きるまでやらせるしかない。①のパターンを目指すのであればもう飽きるまでやらせるしかないんです。残念ながら。
だから④から①に変えていくのは、ものすごい時間と保護者の精神的労力が必要になります。
でもそう考えるとあまり現実的でないですよね。別の考え方をした方が良さそうです。
ゲームと勉強を両立させる
となると、ゲームと勉強を両立させた方がずっと効率が良く生産的になるはずです。どう両立させるのかというと、
ゲームの中に勉強につながる要素を保護者が見つけ出していく。
これって斬新な考え方だと思いませんか?
普通ゲームと勉強の両立なんて言ったら、「ゲームをやってから勉強しようねぇ」とか「勉強が終わったらご褒美でゲームやってもいいからねぇ」とか、申し訳ないですけどその程度のセリフしか出ないと思うんです。でもそんなことじゃないんです。
ゲームを勉強につなげていくんですよ。これが上手くいけば少なくとも②のパターンには持っていけますからね。この状態なら「好きなことが勉強」ってことになる可能性だって充分あるわけです。
ここまでの話をザックリ一言でまとめてしまうと、
「保護者の視点を少し変えてみましょうよ」ってことになります。
納得いく人、いかない人、それぞれいると思いますが、子どもに変化を強要するだけでなく、大人の側としても少し考え方を変えていく必要はあると思います。