身近な「何で?」を勉強へ

 2020年5月28日 18:30

 当学習会のある足立区では午後から雷を伴った大雨になりました。
 幸い被害が出るほどのものではなかったのですが、夏を前にしたにわか雨。
 雷にはちょっとびっくりしました。

 止まない雨はない。雨が降った後には何か良いこともあろう。
 それで教室から外を見てみたら、なんと虹が出ているではないか!!

 急いでスマホで虹を撮影。
 画質悪すぎですが虹の一部分がわかると思います。私が見た時には写真の部分しか虹がありませんでしたが、写真画面の左側へアーチを描くように虹が出ていました。

虹をもとに理科の問題

 私は塾講師なだけに、自然現象を見るとついどんな理科の問題ができるかと考えてしまいます。職業病なんでしょうね(笑)。
 たった1枚の虹の写真ですが、ここから理科で気象分野のテスト問題ができるのもまた事実。
 ということで問題。

 写真は5月28日の日の入り間近、午後6時30分頃のものです。
 撮影地点では2時間ほど雷を伴った雨が降っていましたが、撮影している時は晴れています。
 スカイツリーの左側には虹が出ていることが確認できます。

問1 この写真の撮影地点から見て、スカイツリーは16方位のどの方角にあると考えられますか? またその方角にあると考えられる理由を100文字程度で説明しなさい。
問2 夕焼けが見える日の翌日は晴れる確率が高いといえます。その理由を50文字程度で説明しなさい。
問3 夕立の前は気温が27℃ありましたが、夕立のあとの気温は22℃になっていました。急激に気温が低下した理由として考えられることを100文字程度で説明しなさい。

考え方

問1 5月なので春分の日と夏至の間になります。すると太陽が沈む方角がおおよそ絞られますよね。虹は太陽がある方向とは逆の方向に出ます。

問2 天気はふつう、西から東へと変化します。ということは・・・。

問3 これは小中学生には難しいですね。高校地学で学ぶ様な問題です。水が蒸発するにはエネルギーが必要です。そのエネルギーをどこから取り入れるのかを考えます。

身近にある「何で?」を考えることの大切さ

 にわか雨はそうだし、虹もとりわけ珍しいことではありませんよね。ごく普通に見られる気象現象です。
 でもそのごく普通にあることでも、「何で?」と疑問を持つと色々と考えの幅が広がってきます。そして何でという疑問を持つと、人は無意識的にもその疑問を解消しようと動き出します。もっとも、解決するまで考えるか解決せずそのまま放置するかは別ですが、少なくとも「何で?」という疑問を持てば、たとえ一瞬だったとしても考えるきっかけを持つことにはなります。

 で、結局勉強するかしないかはここにあると思うんです。
 疑問を持つか持たないか。

 疑問を持つということは、積極的に自分で何かを考えている証拠でもありますよね。疑問を解消するために自分で調べるなり、さらに考えるなりする。これってまさに勉強じゃないですか。

 「勉強しろ」と保護者が言ったらその時点で子どもにとって勉強は受け身のものになりますが、子どもが自ら疑問をもってそれを解明しようとしたら、それは自主的・主体的に勉強していることになる。
 だったら勉強しない子どもに対して「勉強しろ」と雷を落とすよりかは、子どもにモヤモヤっとした雲のような疑問を持たせるアプローチをした方が絶対良いですよね。
 疑問を解消できて晴れ晴れするか、解消できなくて悔しさの涙という雨を流すかは分かりませんが、子どもにとっては考えるという過程が大事
 この考える過程を積み重ねることが、将来より広く物事を考えられるようになる基盤となるのではないでしょうか。

 ここでは虹をもとに理科で「身近な何で?」を考えてみましたが、他にも色々あると思います。というより、日常当たり前すぎることでかえって疑問を持てないなんてことも多いです。でも当たり前すぎることも視点をほんの少し変えて見てみると疑問の宝庫だったりするのもまた確か。

 子どもについ「勉強しなさい」と言いそうになったら、ちょっと一呼吸おいて身近な事柄に視点を変えて注目してみるのも良いかと思います。




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