勉強の仕方がわからないという子への関わり方

「勉強の仕方がわからない」と思えるのは、やる気はある証拠

 「勉強の仕方がわからない」という声を、やっぱり子どもたちとそれなりに関わっているとよく聞くわけです。定期テスト前の中学生から今まで何度も聞かされました。
 でもそれって実は良いことでもありますよね。だってそう思うってことは、勉強に向かう姿勢があるってことですから。そもそも勉強に向かう姿勢が全くなければそんなこと考えることもないですし。
 だから勉強が苦手だ!! 嫌いだ!! って言っている生徒からそのような言葉を聞くと、しっかりサポートして自信をつけさせていこう、と改めて思えるのです。

勉強の仕方がわからない3つのパターン

 さてこの「勉強の仕方がわからない」。なぜそのような思いを持ったのかを一歩踏み込んで考えてみると、『3つのパターン』に分けられると思います。そしてそれぞれのパターンに合ったアプローチをしていけば、生徒としてはとりあえず納得して勉強に入ることができます。逆にそのパターンに合わないアプローチをしてしまった場合、生徒としては何かモヤモヤが残るので、勉強している割には今一つちょっとなぁ…という事態に陥ることも考えられます。
 つまり、それぞれのパターンに合ったアプローチをしましょうよってことになりますが、ここでは私自身の体験も踏まえて、勉強の仕方に悩む子どもに対する接し方を考えていきます。

①そもそも何をしたら良いのかがわからないパターン

 学校でも職場でもサークルでも何でもいいですが、初めて行ったところではまさに「何をしたら良いのかわからない」状態になると思います。
 例えば、事務の仕事に採用されて初めて出社した時、事務の仕事をするのは解っていても具体的に何をするのかは分からないですよね。下手に動こうものならかえって周りに迷惑をかけてしまいます。だから最初の内はどうしても指示待ちの状態になってしまいます。

 1つ目のパターンはまさにこれ。「はぁ、勉強?大事って言いたいんだろ。やるよぉ、やれば良いんだろっ、やれば…、うっせ~な。」といって何をすれば良いのかわからない状態。やるべき事柄を理解できていない状態ともいえます。

 こういう時は1つ1つていねいにやるべきことを示していく事が大切です。
 1度に多くのことをやってしまうとパンクしてしまうので、少しずつゆっくりやっていくのが良いかと。そこにモデルになる物や人がいると具体的なイメージができやすく、次へつなげるための目標も立てやすくなるかと思われます。そして、わからない事を気軽に聞けるようにする環境を整えておくことも大切かと思われます。

 このようなパターンの時には、大人は「勉強しろ」と言わない方が良いですね。子どもの立場からしたら、勉強すると決めてやる気はあるものの何をすべきかがわからないから行動に移せないわけです。そんな中「勉強しろ」の禁句を投げつけることは、「大人がしっかり子どものことを観れていない」ということを大人自身が行動で証明してしまっていることにもなります。

(大人を上司、勉強を仕事、子どもをあなた自身に置き換えて読むとすんなり入ってくると思います)

②勉強への意欲はあるが結果が伴わないパターン

 私の高校時代がこのパターンでした。そう、間違いなくやる気はあるんです。確かに勉強時間も取るんです。なのに…、という状態。思いと行動と結果がかみ合ってない状態とでもいえばイメージしやすいでしょうか?
 ①が事柄だったのに対し、②は勉強に対する具体的な方法がわからない状態といえます。
 こんな状態だと本当に勉強の仕方がわからないんですよ。これってもう体験したことがない人には理解できないかもしれませんが、本当にやってもやっても結果にならないんです。そのことを当時の先生に相談しても、「勉強時間が足りないからだ」とか「授業に集中していないからだ」、「予習が足りないからだ」などなど、ことごとくピントのズレた答えが返ってくるだけ。
 自分のことだから言えますけど、この状態って結構つらいですよ(笑) 今だから笑えますが。

 じゃぁこのつらい状態をどうやって克服したかというと、私の場合4つの取り組みで克服しました。
 1つ目は、とにかく簡単な問題を何回も解きなおす。しかも同じ問題。同じものを何回も繰り返すことでパターンが身につきます。パターンが身に着くと今度はその問題について、少し深いレベルで理解していこうと思えてきます。そこまで来たら類題を解いて練習をしていく。すると類題だからまぁ正解するんです。つまり成功体験ですよね。これを繰り返す。これでとりあえず自信はつくんです。「この問題だったら解ける」という。

 2つ目は、出来たことを記録に残すこと。記録に残すといっても、単純に出来た問題をリストに上げておくことですけどね。でもですよ、この記録も積み重なっていくと膨大な量になって、自分の行動の結果が目に見える形で残っていきます。これは自信になりますよ。

 3つ目は、間違えたところの分析をすること。成功体験が重なる前には失敗体験もそれ以上に積み重なります。でもその失敗も見返してみると何らかの傾向が見えてくるんです。失敗の傾向が解れば、そうならない様に気を付けることができます。このことが成功体験につながっていきます。

 4つ目は、ミニテストをする。ミニテストといっても新しい問題集を買うのではなく、何度も何度も解きなおした問題を勝手にテストと思い込んで改めて解きなおす。ぶっちゃけ問題と答えをもう覚えているんですよ、この時点では。でもいいんです。できることを再体験する、半ば暗示みたいなものかもしれません。

 私の体験になってしまいましたが、結局一言で表すと自信をつけるということになります。この4つの取り組みは②のパターンで困った時には効果があると思います。ただ時間はかかります。
 なお上記の4つの取り組みはあくまでも私自身の体験談で、だれにでも共通する対処法というわけではありません。参考程度にとどめておいてください。

③勉強でのつまずきが多いパターン

 前学年やそれよりもっと前の内容に理解不十分なことがあるために、後に続かなくなってしまい勉強の仕方がわからなくなってしまったパターンです。②で紹介した私のケースも、対策を取らずそのまま放置していたら③のパターンになっていたはずです。

 この場合は出来るところまで遡ってやり直すしかないです。と同時に、つまずきの原因がどこなのかも見極めておく必要があるかもしれません。
 例えば日頃の生活習慣やほんの些細なクセなどの様に、一見すると勉強とは全く関係なさそうに感じるところに根本原因があるのかもしれません。

 ③のパターンだと勉強嫌いだったり勉強に苦手意識を持っていても何ら不思議ではないですから、それを取り除く工夫も必要になってきます。例えば、遊びを取り入れつつ気づいたら勉強につながっていた、なんてことも必要になってくると思います。自信も失っているでしょうから、生徒が自信を持てるような内容をやらせて成功体験を持たせたりすることも必要でしょうね。

 あと③のパターンの生徒にありがちなのが、承認欲求があまり満たされていないこともあるように感じます。やはり勉強する場にいると、勉強ができるとそれだけ褒められる機会も多くなり、逆に勉強が苦手だと褒められる機会も減ってしまうからそうなってしまうのかもしれません。
 もちろんそれだけが原因ということではなく、もっと深い所で承認欲求が満たされていないこともあります。

まとめとして

 勉強の仕方がわからない原因を3つのパターンに分けて考えてみました。細かく見ていくともっと多くのパターンに分けられるのかもしれませんが、成功体験をもたせ自信をつけていくことはどのパターンにも共通する事柄かと思われます。
 そしてこれらのパターンを克服していきたいのなら、焦ることなく1つ1つやるべきことを確実にこなしていく事。焦ってあれもこれもと手を出してしまうと結局問題ばかりが多くなってしまい、勉強の仕方がわからないという本末転倒なことになってしまいます。