前ページでは、
・人は動機づけられていないと行動しない
・勉強に対する認識のギャップがあると間違ったアプローチをしてしまう恐れがある
・「つまらない」「理解できない」との思いは『自信がない』状態につながる
・(他者を)自信のない状態にさせてしまうアプローチの仕方:勇気くじき
といったことを書きました。
今回はその続きでアドラー心理学でいう【勇気くじき】について紹介していきます。
勇気くじきとは
勇気くじきには
①高すぎる目標設定
②達成できていない部分への過剰な指摘
③人格否定
の3つのパターンがあるとされています。
以下は勇気くじきの具体例として、親子での会話を挙げています。
子どもの勉強に対してついイラっとしてしまう時は、無意識のうちに勇気くじきをしている危険があります。
【A君は勉強が苦手で学校から帰るとほぼほぼゲームばかり。家ではペンを持つこともほとんどなく、せいぜいゲームのパスワードをメモする程度。なので家での勉強は疎か宿題もやらず、当然学校の成績は今一つ。テストを受けても平均点を大きく下回ることもしばしば。そんなA君にも近々テストがあるということで、親が「今度のテストでは60点を目標に頑張りなさい」と発破をかけました。】
ベタな話ですが、A君にとっては高すぎる目標を突き付けられました。しかも自分で立てた目標ではなく強制に近いものがあります。勉強が苦手なA君にとってこの時点でもう気が重くなってしまうのは容易に想像できると思います。でもまぁA君だってテストが大事なのは解るし、悪い成績になってガミガミ言われるのも嫌なので重い腰を上げて勉強を始めるわけです。
【テストも終わり結果が帰ってきました。平均にはわずかに届かず点数は57点。目標にも届かずとはいえあと1つ〇があれば60点という内容。A君にとっては頑張った甲斐がありちょっと嬉しかったりもしました。そんな中、親が「テストどうだった?」と。57点という結果を見て「こんな簡単な所で間違えたの!? 目標に3点足りなかったねぇ。・・・」などなど。あれこれ至らない点を指摘したあとで最後に一言、
「どうしていつもミスばっかりするの!!」】
A君が頑張ったことはさておき、3点足りなかった所だけに目が行ってしまいダメ出しのオンパレード。こんなアプローチではA君に自信がつかないのは当然です。ここではやっぱり頑張りを認めていくことが大切です。(もっとも強制に近い目標だっただけに、ただ単純に褒めるというのもちょっと考えものですが・・・)
そして最後の一言。人格否定とはさすがに大げさですが、「いつもミスばっかり」というのは破壊力のある言葉です。A君からしてみれば、ミスしていると自覚しつつも他者から言われれば「僕はいつもミスする人間なんだ」と考えが向いてしまう危険が高いのです。
上記のことはあくまでも例え話でフィクションですが、【勇気くじき】については何となく理解していただけたかと思います。
また、動機づけて行動に導くには、勇気くじきを避けなければならないことも納得していただけるかと思います。
子どもが勉強に主体的に向かうようになるには、勇気くじきの反対のアプローチを施していけば良さそうです。
次ページでは勉強に取り組むきっかけの着目点を考えてみます。