試験対策としての目標の立て方 -目的と目標の違い-

マーケティングの考え方を目標設定に活かす

 学習塾のブログなのに、ここでは目標を立てることを「マーケティングの視点」から考えてみます。
 目標を立ててはいるもののなかなか達成できないという場合は、目標の立て方に何らかの問題がある場合も考えられます。
 例えば、試験対策で目標を立てて頑張ったけど結果は平均点を下回ってしまった場合は、無理な内容を詰め込み過ぎていた、なんてこともあります。

 マーケティングというと学校のお勉強からは少し離れますが、その根底にある目標に対する考え方自体は、日常の様々な場面で応用が効きます。

 仕事はもちろんのこと、
 勉強をどのように進めていけばよいか、
 勉強嫌いな子を勉強に関心を持たせるためにどうすれば良いか、
 あるいはそんな堅苦しいことではなく、プライベートでもっと充実した過ごし方をするにはどうすれば良いかなど、マーケティングの考え方を元に目標を立てると、自分でも思ってなかった発見もあるかもしれません。

 ということで、大人も子どもも身につけておきたい、日常生活においても必ず役にたつマーケティングの視点を取り入れた目標の立て方を紹介します。

 といっても、当サイトは学習塾のサイトなのでマーケティングについてつらつらと詳しく書くことはせず、あくまでも考え方を取り入れてみましょうよ、という提案として書いていきます。

そもそもマーケティングとは何か?

 マーケティングとは『お客様の要望に合った商品を作り、その情報をターゲットとなるお客様に伝え、お客様がその商品を手に入れられるようにするためのしくみ』といった内容です。

 マーケティングについての明確な定義が存在しないため少し曖昧な書き方になってしまいますが、もっと簡単に言ってしまえば
売れるしくみをつくること
となります。

 この売れるしくみをつくるための考え方が、目標を立てる上でとても大切になってきます。
 ということでまず言葉の確認で、目的と目標の違いを明確にしておきます。

目的と目標の違い

 目的と目標の違いは説明できますか?
 この違いについて解っていないと、残念ながらあらゆることにおいて間違った行動を永遠と取り続けることになってしまいます。
 なので、目的と目標の違いをここではっきりさせておきます。

  • 目的・・・達成したい事柄
  • 目標・・・目的を達成するための具体的な事柄・手段

 日本語で書くと、「えっ、何が違うの?」と感じるかもしれません。
 でも英語にすると違いが分かってくると思います。

 目的=ゴール、進むべき方向
 目標=ターゲット

目的=ゴール

 イメージしやすい様に長距離走で例えてみます。
 長距離走の目的はゴール(とりあえず完走)することです。
 ただ、ゴールに向けて長い時間ずっと全力で走り続けていたらおそらく、集中力が続かなかったり、体力が持たなかったり、辛さに負けてリタイヤしてしまうかもしれません。
 そこで、途中にある給水所までは力を温存しながら走るとします。この給水所にあたるものがターゲットになります。

 このように書くと、目的と目標の違いは判りますよね。

 目的を達成するために目標がある

 このことをおさえておいてください。
 すると、目標を達成するためにさらに具体的な事柄が必要になってきます。
 そこで次の2つの概念が出てきます。

戦略と戦術

 戦略や戦術というと何やら物騒な感じがしますが、マーケティングではこの言葉を使います。
 戦略と戦術の違いはわかりますか?
 戦略と戦術の違いもはっきりさせておく必要があります。

  • 戦略・・・目的を達成するためにやることとやらないとを明確にすること
  • 戦術・・・戦略を実行するためのより具体的な行動計画、手段

 長距離走で例えると、複数ある給水所のうちどの給水所を利用するかが戦略、その給水所までどのような走り方をするのかが戦術となります。

目的→目標→戦略→戦術 の順で考える

 これら目的、目標、戦略、戦術の4つの言葉をはっきりさせたところで再び長距離走で例えてみます。

 まず完走するという目的があります。
 ただ終始同じペースで走り続けるのは難しいので、途中の給水所を目標に走るペースを考えます。
 すると複数地点ある給水所すべてで給水するのか、あるいは1か所だけにするのかなど、体力などを考えて目標までの戦略が必要になってきます。
 そうなるとどれくらいのペースを保って走るか、常に先頭に立つのか、序盤はあえて2番手3番手を走るのかなど、具体的で詳細な戦術を立てることになってきます。

 まぁ、長距離走だとこの順で考えること自体は誰でも無意識的にできていると思います。
 この順がめちゃくちゃになっていたらとても長距離走なんてできないですよね?

 全力で走ろう(戦略)。とりあえず給水所は全部使う(目標)。常にトップを走り続けて(戦術)ゴールするぞ!!(目的)。

 こんな順序の思考でいたら長距離走なんてとてもできません。給水所にたどり着く前にリタイヤするかもしれません。

全力で走り過ぎた・・・はぁ、

 目的→目標→戦略→戦術 の順で考えるからこそ、物事を上手くやり遂げられるのです。

 マーケティングで例えるなら、1カ月で1億円の売り上げを出すとの目的があるとする。
 そのためには最初の1週間で5千万円の売り上げを出す必要があるのでそれを目標とする。
 でもただ売るだけではムダが発生するので、その品を買ってくれる可能性が高い人に売るという戦略を立てた上で、チラシを配るという戦術に至りお客さんを呼び込むのです。

 もっとも日頃から営業なり何らかの商売をしている人にとっては、この考え方は当たり前のことではあるのですが・・・。

日頃の勉強について当てはめてみます

 上記の例を見るとマーケティングの考え方は、おそらくほとんどの人は納得すると思うんですね。言われてみると「確かにねぇ」と感じることもあるはずです。
 でも勉強のことになると、勉強を苦手と感じている人ほど、この順序がメチャクチャになってたりします。

 目的があるから目標がある。

まただょ、目標、目標って…。

 今この記事を読んでいるということは勉強するにあたり、目標を立て方がわからないとか、何を目標にすれば良いかがわからないなど、目標設定に対し何らかの疑問を持っていると思います。

 ここで一度、あなたが今考えている目標を振り返ってみてください。
 例えば今度のテストの目標を、5教科の合計500点にしたとします。

 その目標は、マーケティングで使う意味での「目標」となっているでしょうか? それともマーケティングでいう「目的」になっているでしょうか? あるいは戦略や戦術ということになっているでしょうか?

 もしですよ、合計500点が目標というなら、その目的は何ですか? ということになる。
 もしですよ、合計500点が目的だったというなら、具体的な目標が必要ですね、となる。
 もしですよ、合計500点が戦略だったというなら、それで何をしたいんですか?となる。
 もしですよ、合計500点が戦術だったというなら、本当にその戦術は可能なんですか!?となる。

 よくいろんな人から「目標を立てなさい」と言われると思います。
 でもただ漠然と目標を立てなさいと言われたところで立てようがないんですね。なぜなら目的がないから。
 もちろん目的があるうえで「目標を立てなさい」と言われる分には意味があるんですよ。でも目的がないのに目標を考えても意味がない。
 だから目標を考える前にまず目的を考えましょうということになってくる。

 そうなるとテストの合計500点というのは、目的にしてはちょっと変だと思いませんか?

目的がないのに目標ばかり追ってしまうと

 目的がないのに目標ばかり追ってしまうと、由々しき事態に陥ってしまうことがあります。

 再び長距離走で例えますが、目的(ゴール)がないのにずっと走り続けようと思いますか?ってこと。
 「ゴールはわからないけどとりあえず目標の給水所まで全力で突っ走ろう」としたって、そんなことしてたらどこかで絶対「もうやってらんねぇ」ってなりますよ。
 やってらんねぇ、つまりやる気がない、モチベーションがダダ下がりの状態に陥る。
 容易に想像できますよね。

 勉強だって同じですよ。
 目的がないのにただ合計500点の目標を立てたとする。
 頑張って頑張って頑張って合計500点を取り続けたとしても、目的がなければその頑張りはいつかエネルギーが切れて頑張れなくなります。

 それよりももっと深刻なことだってあり得る。
 合計500点は、頑張ったところで実現できるかどうかは不透明です。自分の頑張りだけではどうしようもないことだってある。
 目的がないところに実現可能性が極めて不透明なことを目標にして、その目標が達成できなかったとしたら、もう頑張れないどころでは済まないほどの深刻な事態にだってなる危険も出てきます。

 なので、やる気やモチベーションを長続きさせるという意味だけでなく、もっと心理的な深いところでも、目的を持ったうえで目標を立てるということが重要になってきます。

ここまでのまとめ

 目的→目標→戦略→戦術 この順で考える
 目的はゴール 目標はターゲット
 目的があるから目標を立てられる
 目的のない目標はやる気を下げる危険がある

 せっかく目的を明確にして素晴らしい目標を立てたとしても、それを実行するための戦略や戦術が不十分だと目標達成は遠のいてしまいます。仮に達成できたとしても、とても長い時間かかってしまうかもしれません。
 単純に目的や目標を明確にしただけでは、まだまだ足りないこともあるのです。

 ということで戦略、戦術について次に書いていきます。




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