先日、東京都の公立高校の入試について、出題範囲を縮小するとの発表がありました。やっぱりそうなったかという感じがします。
出題範囲が縮小するということは、受験生にとっては勉強する内容が少なくなるから良かったと思うかもしれません。でもいいことばかりでもないですよね。
出題範囲が狭いということはその分入試で高得点を狙いやすくなる、つまりより多くの受験生が合格基準をクリアしやすくなるともいえます。
でもここがちょっとくせ者。
そうなると極端な話、受験生全員が基準を上回るということだって可能性としては0ではなくなります。しかし入試である以上、合格者と不合格者の線引きはどうしても必要になってきます。ではどうやって線引きの基準を設けるかというと、内申点を重視することは当然のこととして、入試問題の難易度を上げることで、しっかり勉強した生徒ととりあえず勉強した生徒を分けるという方法にならざるを得ないのではないでしょうか。
つまり例年通りの対策で受験を迎えると思わぬ落とし穴にはまる危険があると考えられます。
例えば数学。
三平方の定理と標本調査は入試の範囲外との報道がありました。でも入試では例年、三平方の定理を使った問題が頻出されます。図形の問題としてはもちろんのこと、関数との融合問題などで。そしてこの部分が合否の分かれ目になったりするものです。
しかし2021年の入試ではこの分野が出題されないわけですから、必然的に他の分野で分かれ目になる問題、つまり高難易度の問題を作らざるを得なくなります。
するとどの学習内容で難易度を高めるのかとなりますが、中3の学習内容で難易度を上げるのには問題作成の面からして厳しい所があるかと思われます。これは単純に2020年の各学校の進度の違いを考慮するとということでです。
なので中2までの内容で難易度調整をするのではないかと私個人は考えます。
ということは例年に比べ、2年までの学習内容を1歩踏み込んだより高いレベルで習得していく必要が出てくると言えます。
ここでは入試の難易度が上がるということを前提で書きましたが、もちろん例年通りの難易度で出題されることも十分考えられます。ここで不必要に不安をあおることはしませんし、変に予測することもよろしくないですが、2020年はあらゆる面で変化が生じました。その影響が入試の出題範囲の縮小という形で早くも出始めました。
入試に限ったことではないですが、その変化に柔軟に対応する姿勢は身につけておきたいものです。