文章を書くことに慣れていない生徒に作文を書かせると、書くこと慣れていないためにやっぱり苦労します。「○○について書け」とお題を提示してもそうだし、「好きなことを何でもいいから自由に書け」と言ってもやっぱり苦労します。自由に書くならスラスラ何でも書けそうな感じもしますが、作文に慣れていなかったり、書くこと自体を苦手としているとどうしてもペンの進みが遅くなります。もっとも夏休みの宿題によくある読書感想文なんかは、そもそも生徒に興味・関心がない本を読んだそのうえで書かなければならないので、何を書こうか整理できないというのもあるのですが・・・。
さらに文字数の指定があるとそこでまた困ってしまいます。どうやって文字数を稼ごうかと。
そしてがんばって苦労した末に書きあがった文章もどこかたどたどしいものになってしまい、読み手が解釈に困ってしまうような読みづらい内容になり、結局何を言いたいのか伝わってこないなんていうことがよくあります。
ところで文章を書くことが苦手な生徒にはちょっとした共通点のようなものもあります。やはり文を書くなら自分が伝えたいことをしっかりと伝えられるものに仕上げたいところですよね。
ここでは、文章を書くのが苦手だと感じている小学校高学年から中学生に対し、文章を書くためのちょっとしたコツを紹介しようと思います。
文章の書き方に困った時の参考に読んでみて下さい。
主語と述語を対応させた文を書く
いきなりですが問題。
「僕の夢は、お金持ちになる。」
この文、すんなり理解できます?
それとも何を言っているのかさっぱり理解できませんか?
この文、まぁ言いたいことは何となく伝わってくるとは思います。ただ、すんなり理解するというよりかは、一瞬「んっ、どういうこと?」って感じた人が多いと思います。
というのは、この文の主語は「夢は」で、述語は「なる」です。つまり「夢はなる」という文脈になってしまい、そこで一瞬理解に苦しむことになるわけです。なので「夢」に対して正確な述語を使う必要があります。
すると「僕の夢は、お金持ちになることだ。」
とすると文脈として正しくなってきます。
このように文を書くことが苦手な人は、主語と述語の対応が不正確になっていることが多いといえます。もちろん主語と述語だけの単純な文や1文、2文程度の短い文章ならまぁ理解もできるのですが、修飾語が入ってきたり、1文が100文字くらいになるような長いものになるとこのような傾向が見られるようになります。
これがもっと長くなってくると、読み手が理解しにくいだけでなく、書いている本人でさえ何を言っているのか、何を書きたいのかがみえなくなってくるなんてこともあります。書いている本人がそれでは、相手に伝える文章なんて書けないですよね。
文を書く時はまず、主語と述語を対応させた文を書くように意識していく事が大切です。
さてそうすると、主語と述語を対応させた文を書くように「意識」するには、日頃どうすれば良いのかということになります。
これに対して1つの提案ですが、「主語を明確にして声に出して話す」ということをやってみると良いかと思います。普段親しい人と話す時、「私は」とか「僕は」と主語をつけて話すことは意外に少ないと思います。そこをあえて主語をつけて話す。
例えば、部活後お腹が減って帰宅した時に「あぁ〜、腹減った〜。お袋、メシくれ」って言うと思いますが、そこをもう少し主語を明確にして「あぁ〜、私は腹減った〜。お袋、私にメシくれ」という様にしていく。そうすることで、主語と述語を明確にした文を、実際に声に出して確認することになります。
実際に話すのが照れ臭いと感じるなら、独り言をいう時に主語を明確にしてブツブツつぶやくのも良いかと思います。
起承転結を意識する
作文のお題が出されると、原稿用紙4枚以上とか2000文字以上などと文字数の注文がつくことがあります。すると書くことが苦手な人は「ぐぇ、2000文字も書けねぇしそんなにネタがねぇよ。」と反射的に思うんですよね。小学校時代の私が実際そうでした。するともう文字数を稼ぐことだけに神経を使い、肝心の文の内容は全くと言っていいほどおざなりになってしまう。だからまとまりがない何を言いたいのかさっぱり伝わらない文章で、不自然に「、」や「。」が多かったりする実に読みにくい文章になってしまいます。
そこで文を書く前に、大まかでいいから起承転結を頭の中でシミュレーションしてみることをお勧めします。
例えば、部活後お腹が減って帰宅した時のことをネタに作文を書くとします。
まずは文を書く前に大まかでいいから起承転結を考えます。
起・・・卒業して高校に行っているはずの先輩が、先輩ズラするためにノコノコ中学にやってきた。
承・・・もう部外者のクセにやたらスパルタ指導する。まるで昭和のスポコンアニメの様な理不尽さ。やってらんね〜!!
転・・・あぁ〜、昭和、昭和! 昭和っ!! それより腹減ったゼ。さっさと帰ろ。
結・・・家について「あぁ〜、腹減った〜。お袋、メシくれ」って言う前に、割烹着姿のお袋がインスタントカレー作ってくれていた。ここも昭和かっ!!
こんな感じで大まかに起承転結を考えたら、あとはそこに肉付けをしていきます。原稿用紙4枚で書くなら、起承転結それぞれに原稿用紙1枚を目安に計算できますよね。すると文字数での目安ができるから頭の中も整理できて、どこで何をどう書けばいいか整理できてきます。あれを書いてみようか、これを書いてみようかと想像力もわいてきます。
こうなると原稿用紙4枚は多いと感じていても、書いていくうちに意外と原稿用紙4枚は少ない文字数だと思えてきます。こんな状態になれば書くことに困るってことは随分と解消できると思います。
因果関係を示し、筋道立てて書く
「○○だから□□だ」
という形で因果関係を示した文を書くと説得力が出て、より伝わりやすい文章になってきます。もちろん主語・述語の対応を意識しながら書くようにします。自分の思いや感情を因果関係を示しながら書くと良いかもしれません。
例えば上記の先輩について、自分の思いや考えを因果関係を示して書くと、どんな先輩なのかが見えやすくなります。
「やっと中3になって後輩にデカい態度を取れると思っていたのに、ノコノコ先輩がやってきたからまたヘコヘコしなきゃならない。冗談じゃない。だから先輩には来てほしくない。ていうか来るな、部外者。」
約90文字です。因果関係を示した文を入れることで、状況が見えやすくなりますし、書き手の思いや考えも伝わります。ぶっちゃけた話、文字数も稼げます。
最後に一言
ここまで3点をコツとして紹介しましたが、他にもコツとしてはまだまだあります。それについてはまたおいおい書くとします。
ただやっぱり日頃からマメに文を書くようにするのが一番の作文対策になります。書くことに慣れるには書くしかない。
毎日50文字でいいから何かしら自由に文を書いてみる。
これを4つめのコツとして紹介します。